「日本のインバウンド産業は大きくなっているが、決して強くなっていない」
インタビュー)
訪日外国人向けメディア「ジャパンガイド」(japan-guide.com)を運営するエクスポート・ジャパン(株)のFrank Walter氏に最近の訪日客の動向について話を聞いた。
ジャパンガイドは、1996年より30年近く運営している国内最大級の「英語圏向け」訪日観光Webメディアである。英語圏旅行者にとってGoogleやYouTubeに次いで参考とされているサイトであり(R4年度神奈川県調査)、約7割が旅マエ活用、残りは在日外国人や旅ナカで活用されている。
日本各地で取り組みの一つに挙げられる富裕層マーティングの実態について聞いた。訪日外国人数は増加し街中に旅人が溢れているが、Frank Walter氏は「日本のインバウンド産業は大きくなっているが、決して強くなっていない」と話す。
各地で富裕層マーケティングが話題になっているが、観光地へはどんな導線なのか
Frank Walter氏
言葉が独り歩きしている。富裕層といっても様々なレベルがあります。対象がどんな方々なのか、もう少しターゲットを絞り込むべきでしょう。年収100万ドル以上層でも体験など自分たちで手配しています。さらに、1000万ドル以上のような超富裕層は個人旅行として自前のスタッフやエージェントが手配をしています。アメリカでは滞在中のアクティビティについて、ホテルのコンシェルジュと対話しながら決めていくのが一般的です。海外ではコンシェルジュが「明日はどんな予定ですか」と話しかけます。日本ではそういうコミュニケーションが一般的でなかったり、スタッフに余裕がないのかもしれないですね。しかしこういった直接的なマーケティングはとても大切です。旅行者が何をしたいか、何が好きか、ニーズを知るべきです。日本のガイドさんたちも同様で、例えば家族客なのか、20代~30代女性なのか、狙うべき対象のペルソナ分析が出来ていない。マーケティングが弱い。
そのようなターゲットを明確にした上で、KPIで何を成功とするのかを設定すべきです。達成できる目標を設定して、一段階ずつそこを超えていくことで良い循環を生むようになります。日本のインバウンド産業は確かに大きくなっていますが、決して強くなっていないのです。
※ジャパンガイド
月間ユニークユーザー数 200万人(内197万人は外国人からのアクセス)を誇る「英語圏向け」訪日観光Webメディア 。1996年にスイス出身で現Visit Japan 大使 のステファン・シャウエッカーによって設立。 世界最大規模の日本旅行・生活・文化情報 サイトとして、30年近く訪日・在日外国 人の主要な情報ソースとなっている。 YouTubeチャンネル登録者数 30.9万人(2025年4月時点)。