【JWM・NEWS】韓国が27年までに海洋療法センター5カ所開業へ
韓国が27年までに海洋療法センター5カ所開業へ
昨年10月に「日・韓ウェルネス情報交換会議」が初開催韓され、韓国の海洋療法、日本のウエルネスツーリズム、食品の機能性の取り組みの現状について情報交換が行われた。
2024 年10月3日都内にて、ウェルネス(ヘルスケア、セラピー、ヒーリング)産業に係る初の日韓情報連絡会議が開催された。(主催:日韓情報連絡会議ステアリング・コミッティー(以下SC)/ 特別協力:Diet&Beauty Fair / Well-beauty Style 2024)。ウェルネス産業に関する両国における①政府(中央・地方)の政策と活動、②企業や経済団体の活動、③学術での注目すべき研究や産学連携、④メディア等のトレンドについて初の情報交換が行われた。主催のSCメンバー(順不同)は、河合雅樹(元新潟県産業労働観光部参与、元早稲田大学招聘研究員)、江渕敦((一社)Jウェルネス振興会代表、Diet&Beauty 編集⾧(当時))、キム・ヒョンジュン(韓国慶南大学教授、韓国セラピー協会顧問・元会⾧)、キム・チョンゴン(韓国海洋科学研究院主席科学者、教授)ら4氏によって構成(写真 前列)。
韓国の海洋療法の現状と将来
韓国側からは、同SCメンバーの両氏に加え、カン・ヤンフン氏(韓国海洋科学技術院)が来日参加した。プレゼンテーションでは、「ウエルネス・ヒーリング産業の政策方向と標準認証戦略」(SC キム・ヒョンジュン)で、ヒーリング産業としての森林、海洋、農業、観光の現状や今後の可能性について紹介し、高齢化の現状や課題は似ている点に触れ、両国協力のもと、サービスや製品の標準化、広報、国や企業、研究機関の連携への期待を示した。
「海洋治癒とマリンヘルスケア(ヒーリング)」(SCキム・チョンゴン)では、海洋療法研究の成果や有効性、産業としての可能性を紹介した。今後施設での実装を目指しており、27年までに自国内5カ所で海洋治癒センターが開業するという。健康効果だけでなく事業としての運営方法を検討してきた。その上で運営ポイントに地域住民の健康づくり活用を挙げた。
最後に「韓国の海洋治癒政策の現状」(カン・ヤンフン、韓国海洋科学技術院)では、韓国の海洋療法に関わる制度と政策実行の経緯について紹介された。2014年の海洋観光振興基本計画(第2次)で、海洋治癒資源発掘と検証が明記され、自治体としてまずワンド、テアン、ゴソン、ウルジンが選定され、現在、専門人材の育成やサービスの標準化、認証研究、ビジネスモデル研究が進められていることが紹介された。地域、四季の特徴を生かしたプログラムを検討していることや、選定地域に済州も加えた5カ所で27年までに海洋療法(海洋治癒)センターがオープンすることが紹介された。
海洋療法のタラソ施設は日本でも2000年初頭注目され全国で20カ所を超えるタラソ施設が開業し拡大動向が注目されていたが、その後、業績不振で撤退を余儀なくなれた施設もでてきた。海水汲み上げや設備管理費など大きな運営コストの問題が指摘されており、現在の韓国の海洋療法への積極的な取り組みは、日本での海洋療法展開へのヒントを得られる興味深い内容となった。
日本のウエルネス市場と健康政策
日本側からは、「関係省庁の健康政策の近況」(SC河合)、「日本のウエルネス市場のトレンドと方向性」(SC江渕)、続いて、地域の機能性食品制度への取り組みとして、「北海道独自の機能性を有する食品産業認証制度の10年の成果」、(一社北海道バイオ工業会、食品機能性地方連絡会三浦健人)、「長崎での取り組み」(長崎・地域活性事業化センター武田龍吉)が紹介された。また、観光をテーマには「日本のウエルネスツーリズムの課題」(流通科学大学西村典芳)で日本の人口減少、健康課題の現状や、健康増進施設、温泉、ソーシャルキャピタルについて紹介した。
同会議開催の背景として、SCのメンバーで発起人の河合氏は「隣国である両国はともに先進国として、地域と世界に産業経済文化で貢献しているが、国内では地方経済の遅れや中央との格差拡大。さらに人口減少や高齢化が大きな課題となっている。これらを克服するため、健康分野の産業振興が提唱され、国や地方政府、産業界が多くの取り組みを行っているが、いまだに大きな動きとはなり得ていない」という現状があるとし、会議目的を「両国の情報交換、政策事業戦略の気づきを得る、産業関係者の勇気づけ、日韓経済文化交流」と掲げた。
同会議では、日韓の自然資源を活用したウェルネス産業(ヘルスケア産業、セラピー産業、ヒーリング産業)分野における情報交換によって、産業成長のスピードが増し、新たなビジネスチャンスの創出を期待する。今後の継続開催が予定されており今年2025 年は韓国で韓日情報連絡会議開催し以降毎年交互開催を目指している。

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