研究セミナーレポート①

第34回研究セミナー(8/27報告)
「なんとなくいい」から、美肌を実感できる温泉へ
-日本初!「美肌温泉証」で地域振興-

株式会社 ポーラ・オルビスホールディングス
美肌温泉プロデュースタスクフォース オペレーティングディレクター
美肌スペシャリスト 山川 弓香氏

 


講演テーマ
「肌、心身をケアできる温泉に着目した『美肌ウェルネス』への取り組み

日本の温泉は、全身の肌をケアしてくれる貴重な観光資源だ。しかし、これまでは肌への科学的根拠が示しにくかったために「なんとなく入って、なんとなく効果を感じる」ことが多かった。そんな状況を打破するために立ち上がり、実績を重ねているプロジェクトがある。

温泉に、美肌の科学的根拠を
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスが、温泉について「提供してほしい情報」と「十分に提供されていないと思う情報」を調査した結果、最も不足していたのは「温泉の肌への効果」だった。温泉ファン、特に美容意識の高い女性たちにとって、せっかく温泉に入るのだから科学的な効果を知りたいと思うのは必然だろう。
一方、温泉宿の声としては、お客様から「どんな美肌効果があるの?」と聞かれて困った、自信を持って美肌の湯だと言いたいが根拠を示せないので言えない、他の温泉宿とは違う魅力を打ち出したい、などがあった。なかには、泉質には自信があるものの無色無臭のお湯なので「これって本当に温泉ですか?」と聞かれて悔しい思いをした女将もいたという。
温泉はなんとなく肌に良いものだということは体感としてわかっていても、それをサイエンスの視点から裏付けることは、これまでほぼなかった。そこでポーラ・オルビスグループは、薬学博士の多田明弘氏をプロジェクトメンバーに迎え、泉質に科学的な「おすみつき」を与える研究活動を2021年からスタートした。

「美肌温泉証」が温泉宿に与えた自信
“浴槽の湯”を評価することにこだわる。それは実際にお客様が入り、肌に触れる湯だから。その湯を分析し「7つの美肌泉質」に認定されれば、「美肌温泉証」が授与される日本初の仕組みだ。7つとは、「湯磨きピーリング温泉」、「メルティング浄化温泉」、「ほぐしブースター温泉」、「美整リペア温泉」、「バリア・オアシス温泉」、「エクスプレス潤化温泉」、「引き締めパック温泉」。すべて、美容意識の高い女性たちの声から生まれたネーミングだという。この「美肌温泉証」をPRすることで、自信を持って接客ができるようになったという声は多い。また、美肌をきっかけにさまざまなウエルネス体験を提供するなど、温泉宿や地域の魅力を高めることにも貢献している。

肌を見つめることは、今と未来を見つめること
ポーラ・オルビスグループでは、要望があれば温泉宿のプロモーション全体にも携わる。ポスター・販促物の制作や、「美容・食・睡眠・感性を磨く」などの切り口でコラボするなど、日本の温泉文化全体をサポートしている印象だ。なぜ、そこまでするのか。おそらく、温泉体験を通して肌を見つめることは、からだとこころが健やかで美しくなることであり、自分自身を大切にすることだという確信があるからだろう。2029年に創業100周年を迎えるポーラ・オルビスグループの美肌温泉プロデュースタスクフォースの今後の動向に注目したい。