【JWM・NEWS】令和7年度 「第3回ICOIフォーラム」2月9日熱海で開催

令和7年度 「第3回ICOIフォーラム」  レポート

温泉×ウェルネスは、社会実装の段階へ

 

静岡県が進める「ICOIプロジェクト」(※1)は、伊豆地域を舞台に、温泉資源を核とした新産業創出を目指す取り組み。2月9日開催された「令和7年度第3回 ICOIフォーラム」(於 静岡県熱海市 起雲閣ギャラリー)(※2)では、「温泉×ウェルネスツーリズム~異業種が織りなす次世代ビジネス創出~」をテーマに、行政、研究、スタートアップ、地域事業者が一堂に会し、社会実装に向けた具体像が共有された。

冒頭、主催者を代表して挨拶に立ったのは、静岡県 経済産業部 新産業集積課 参事太田吉紀氏。伊豆地域は源泉数2,000超を誇る全国有数の温泉地であり、その資源を活かし、化粧品開発や温泉プールを用いたアスリート向けプログラムなど、多様な実証を進めてきたと紹介した。ICOIフォーラムは、温泉を起点に新たな製品・サービスを生み出すための「出会いと対話の場」と紹介し、活発な議論への期待が示された。企業セッションでは、ICOIプロジェクトに関わる5社・団体がピッチを行った。立場は異なるが、「温泉×ウェルネス」を現実のサービスとしてどう形にするか、という一点で共通していた。

㈱Sportip(筑波大学発ベンチャー)は、AIによる姿勢・動作解析を紹介。写真撮影のみで身体の歪みや将来リスクを可視化し、個別最適な運動メニューを自動提案する。無人運用が可能な点は、温泉施設や観光地との親和性が高く、健康効果を“体感”から“理解と行動”へとつなげる仕組みとして印象的だった。

観光DXを手がける㈱Plaru(東京都)は、良質なコンテンツを「狙った人に届ける」ための動線設計を提案。土地勘のない旅行者の不安を解消し、旅前から旅後までをデジタルで設計することで、来訪率向上やPR精度の改善につなげる。住民参加型のマップづくりは、地域の魅力を再編集する試みとして注目された。

㈱hone(東京都)は、「平日×一人旅×福利厚生」という切り口で、未開拓需要に光を当てた。一人で過ごす時間を価値と捉え、個人・宿泊事業者・企業をつなぐモデルは、温泉地の平日稼働と生活者の行動変容を同時に促す可能性を感じさせた。

(一社)伊豆長岡温泉エリアマネジメント(伊豆の国市)は、「100年続く温泉地」を掲げ、マルシェやシェアサイクル、大学連携、空き旅館再生など、暮らしと観光を横断する実践を紹介。文化や食、自然体験を組み合わせたウェルネスプログラムは、地域に根差した持続可能なモデルとして説得力があった。

最後に紹介された ゆうだい温泉(三島市)の取り組みは、温浴をスポーツリカバリーや行動変容の起点として再定義するものだった。アスリートを対象とした実証や、地域住民・若年層への展開を通じ、「人が回復するために風呂が必要」という普遍的価値を可視化している点が印象に残った。

5つのピッチを通じて浮かび上がったのは、ウェルネス効果の可視化、旅の時間全体の設計、平日・一人旅という需要開拓、地域文化を核にした運営、そして温浴を起点とした行動変容という共通項である。ICOIプロジェクトは、温泉×ウェルネスを理念にとどめず、具体的な協業と実装へと進める段階に入ったことを示すフォーラムとなった。

※1 ICOIプロジェクト(伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクト)・・静岡県は全国でも有数の温泉地で源泉数は2000を超える。その9割以上が伊豆地域に分布している。この豊富な源泉を活用し食や運動を組み合わせた伊豆に適した新しいヘルスケア産業の創出を目指して静岡県は同プロジェクトを令和3年度スタートした。  ※2 ICOIフォーラムは令和4年に設立、プロジェクトに取り組む法人・企業等のネットワークを構築し伊豆地域への事業展開を促進している。

Jウエルネス視点

Jウエルネスの視点で見ると、今回の5社はいずれも「温泉」を点ではなく、人の人生や行動の流れの中で捉えていたことが印象的でした。可視化、動線設計、平日需要、地域文化、行動変容。それぞれの立場から、温泉を“暮らしに効くウェルネス”へと翻訳しようとしている。ICOIプロジェクトは、その接続点になり得ると感じています。